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原子爆彈被爆者熱傷瘢痕の整形手術について
岡本 繁
1
,
勝部 玄
1
Shigeru OKAMOTO
1
,
Gen KATSUBE
1
1廣島遞信病院外科部
1The Surgical Department of the Hiroshima Teishin Hospital.
pp.238-240
発行日 1953年5月20日
Published Date 1953/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201234
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原子爆彈被爆者で整形手術を希望し弊院外科に来訪した者をみるに,その障碍の原因は爆彈の爆発によつて生じた熱と爆風によるものに大別でき,此等被爆者327例に就て昭和21年2月より同22年6月迄の間に整形手術を行いその経過を観察した.それ等症例中熱傷癜痕の手術は271例にして全症例の過半数を占めている.而して熱傷癜痕は何れも被爆時爆心側露出面にあり,熱傷部位が比較的広範囲に亘る火傷であり,その特色は瘢痕が隆起し所謂瘢痕ケロイドとして著しく着色し醜形を呈している.これ等の熱傷瘢痕は主として身体露出面である顏面,即ち眼,耳,鼻,口唇,或は頸部及び四肢関節部にあり攣縮による機能障碍甚し.而して瘢痕のケロイド樣隆起は他の原因による瘢痕攣縮より遙かに高度である.從つて此等の瘢痕は美容上は勿論機能障碍の点に於ても亦被爆者に甚しき苦痛の種である.
この熱傷瘢痕に対して單純なる瘢痕切除縫合術,有茎移動皮膚弁による欠損部補填術,植皮術等を適宜施行した.即ち熱傷瘢痕に対する手術例271例中比較的瘢痕切除の小なる171例は瘢痕切除縫合術により,稍々広範囲の瘢痕切除を要する時は植皮術を行いたり.吾々は從来行われていた種々の植皮術の内上皮移植法に属すべきThiersch氏法及びReverdin氏法,更に皮膚全層移植法であるKrause氏法を試みたり.
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