特集 眼科臨床の進歩Ⅲ
鞏膜短縮法
高度近視の鞏膜切除短縮術
大橋 孝平
1
1慈恵会医科大学
pp.574-580
発行日 1955年4月15日
Published Date 1955/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410202190
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1.近視手術の文献概要
高度近視の手術としては古くからFukala(1890〜1898)の手術として透明水晶体摘出法が知られているが,これは多く19D以上の近視に用い,主として若年者のみに応用される。その他,近年吾国では中等度までの近視手術として順天堂大学佐藤教授の角膜後面切開法があり,これは5〜8Dまでの近視に適するとされる。従つて,この両手術適応症範囲の中間に位する。10D前後のものの手術としては適応手術式がなかつたわけである。然し網膜剥離の手術として行われるLindner法による鞏膜切除短縮手術が近年は近視の乎術として応用出来るとする報告が2,3内外交献に見られるようになつた。
外国では始めて鞏膜切除短縮術を行つたのはMuller (1903)であり,彼は高度近視で網膜剥離のある数例に鞏膜の小片を切除縫合して眼軸短縮を行つた結果,網膜剥離が治癒したと云う。この時は外直筋を切腱して,その後方1〜2mmより後方に角膜縁に平行して幅8〜10mm,長さ20mmの鞏膜全層を切除して高度近視が遠視か軽度近視になつたと報じた。その他Holth (1911)は赤道前部鞏膜管錐術として鞏膜の1部を管錐で切除して屈折が減弱することを報告し,11Dを減ずるものもあつたと。
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