Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
網膜剥離に対する手術療法として,Goninによつて創始された網膜裂孔閉塞術は,ジアテルミー凝固術の応用によつて,華々しき発展と普及を逐げ,Goninの発表以来20余年の間は,手術の焦点は専ら網膜裂孔閉塞にのみ向けられ,加えて網膜下液の可及的排除ということが考慮せられている状態であつた。本法による治癒率は発表した術者により多少の差はあるが平均して概ね70%である。かかる治癒率より鑑みても本法の適応に限界があることが明らかである。即ち剥離を相当数取扱つた手術者ならば,ジアテルミー凝固法のみを以てしては到底治癒が覚束ないと初めから推定されるようなtypeの網膜剥離を,容易に脳裡に描出することが出来るであろう。かかる方法上の行詰りを打破する手段として,1950年頃より期せずして欧米各地に於て,古くMüllerに起源を発する鞏膜切除短縮術の併用が再認識される機運となつた。最初の数年間は,専ら予後不良が予測される悪性乃至重症網膜剥離を対象とすべき手術法として行われていたが,其の後施行者の増加に伴なつて,手術方法細部の改案が多数発表せられる一方,その適応選定の範囲も漸次拡大せられる傾向が観取され,ここ数年の欧米誌上より窺われる傾向は,初期に考えられていた以上に繁用せられている趨勢にある。
Durng the period from January 1953 to June 1959, the surgical treatments were performed on 453 eyes with the retinal detachment, among which 68 eyes (15%) underwent the la-mellar scleral resection primarily or secondarily. With the exclusion of two eyes in which the final result was not yet obtained, the complete reattachment of the retina was obtained in 23 eyes (34.8%) out of 66 eyes. Somewhat poor incidence of success was, we considered, due to the fact that only complicated cases suspected of a poor prognosis were subjected to the scleral resection.
Copyright © 1960, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.