Japanese
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論説
神經性耳痛
Die neurotische otalgie
柴 正隆
1
1大阪市立東市民病院耳鼻咽喉科
pp.128-131
発行日 1947年12月1日
Published Date 1947/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200028
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緒論
神經性耳痛は精細なる觀察或は時日の經過に依り耳周圍の病變より耳に放散せる疼痛なる事を發見する事屡ゝにして病名決定には愼重を期さねばならぬ。
所 純粹,Tympanalgie,Mastoidaigieは稀有のものにして,大半は多少共廣範圍に亙る耳痛なり即ち此等耳痛患者は輕重の差はあれど大耳介神經,小後頭神經等の支配範圍に疼痛を伴ふ者多く,中には大後頭神經或は鎖骨上神經等の支配範圍にも疼痛を訴ふる者あり。之等神經は明に上部四つの頸神經の分岐枝にして該神經の神經痛を頸後頭神經痛Cervico-occip:talneuralgieと稱す。然れどもこの中,大耳介神經,小後頭神經は三叉神經第三枝中の耳介側頭神經と共に外耳道,耳翼及び其の周邊を支配する點。上部四つの頸神經は相互に複雜なる解剖學的吻合を成せる頸神經叢を形成し,此頸神經叢より上述の四神經分岐枝が發する點,神經痛の特徴として近隣神經の支配範圍まで疼痛乃至は知覺鈍麻,又は過敏を起す點。等を思考すれば,神經性耳痛と言はるるものは純粹のTympanalgie Mastoidalgieに加ふるに頸後頭神經痛をも包括すべき性質のものと思惟さる。かゝる意味に於ける神經性耳痛患者は近來増加の傾向にあり。
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