特集 第6回日本臨床眼科学会講演集(普通講演)
(47)近視手術の通應範圍について
佐藤 勉
1
1順天堂醫科大學
pp.191-193
発行日 1953年2月15日
Published Date 1953/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201432
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演者は柴田博彦と共に高度近視多數例について水晶體摘出手術を行い,次の如き結果を得た。角膜雲や白内障等がなく術前術後の測定の結果が明かに出て居る者46例である。その效果は線状検影法によつて最高37D,最低16.5D,平均22.4D。自覺的検査によつて最高34D,最低15D,平均20.8D,であつた。この結果は庄司氏1)の結果よりやゝ弱く,一般に云われる18D〜20Dと大體一致している。自覺的に−18Dの近視(9例)に手術したものは−1.5から+3.5,平均1.2Dの屈折状態となつた。
−16D (8例)のものにこれを行つた場合−1Dから+4D,平均+1.6D。すなわち20Dに達しない近視には相當な遠視が發生して,必ずしもよろこばれないものである。自覺的に−20D (6例)の例に手術した場合,術後の屈折状態は+1D1例,その他全部±0Dとなつた。手術後±0Dとなつた11例は手術前−34〜−16D,平均−22Dであつた。手術後自覺的に−2D以下の近視となつた者(5例)は術前−34〜−16D,平均24Dであつた。要するに水晶體摘出術は自覺的検査で20D以上の近視に行い,これを正視または輕度近視となすのを原則とすべきである。しかし術後多少遠視になつても多くの例は視力自體が増加するから,非常に感謝する。それ故に他覺的20Dまでは適應症と考えてよい。
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