臨床實驗
網膜黄斑部中心窩無血管範圍の計測に就て
加藤 謙
1
1荻窪病院眼科
pp.106-109
発行日 1950年3月15日
Published Date 1950/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200544
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緒言
網膜黄斑部の中心領域に毛細血管が欠如していることは周知の事実であるが,その欠如部の範囲(廣さ)に関しては未だ必ずしも意見の一致を見ない.從來報告せられた計測値は主として網膜血管の注入標本又は染色固定標本に就て組織学的に計測せられたものであるか,或はPurkinje氏血管像を應用して内視的に計測せられたものである.試みに先人の計測値を列挙してみると,外國では水平直径0.42mm (Leber),水平直径0.41mm,垂直直經0.31mm (Becher),水平直径0.4506mm,垂直直径0.3999mm (Mayer hausen)等であり.本邦の文献では直径0.5mm (河本重次郎1),明治37年),直径0.3mm (藤田秀太郞2),大正4年),水平直径0.89mm,垂直直径0.77mm(鈴木林一3),昭和16年),直径0.2mm (中村康教授4),昭和22年)等である,尚鈴木氏に拠れば血管注入標本に就て0.4-0.5mmと報告した人(内田,1918)もある.以上の報告数値を通覧すれば,本邦の文献に於て最小0.2mmより最大0.89mmに及ぶ著しい差異があつて,これを單に被檢者若くは観察標本の個人差であると見做すには,余りに差が大き過ぎるように思はれる.
私は最近網膜黄斑部毛細管の血流内視現象に関して考究中,偶然の機会に血流内視現象を應用して私自身の黄斑部無血管範囲を計測してみたととろ.
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