特集 眼科臨床の進歩Ⅰ
レヂンチユーブによる慢性涙嚢炎手術とその後
市川 健三
1
1東大眼科教室印刷廳東京病院眼科
pp.906-910
発行日 1952年11月15日
Published Date 1952/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201323
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眼科臨床醫報第44巻第8號に發表以後,中島,國友教授の御紹介や加藤,百々,井街氏の御追試,松原氏の御批判が發表され,又各教室及び開業されている各位の御試用を得たが,今回臨床眼科特集號に使用法並に遠隔成績に就いての報告のために貴重な紙面を提供されたことは私の最も欣びとする所である。ここに繰返しではあるが,その後氣のついた事,御教示を受けた事など總括して使用法を述べてみたいと思う。又發表以來2カ年の年月を經ているに過ぎないが,遠隔成績に就いても亦考察してみたいと思う。
前處置として念のため細菌の検査を行い,一應ペニシリン水溶液(1cc 2000單位位)で涙嚢洗滌を前日から行つて多少でも膿を少くしておく。リピョドール等の造影劑によるレ線撮影を行つたり,消息法を行つて鼻涙管の閉塞部を知つておく事は大切であるが,涙嚢の状態を知る簡單な方法として私は次の方法を行つている。即ち消息子で下涙點から眞直ぐに鼻骨へあてて,その硬軟の感じで涙嚢の肥厚状態を察し,次にアーネルの洗滌針を下涙點に輕く挿入し,上涙點を示指で抑え,中指を輕く涙嚢部に置き,洗滌液を注入すると,中指に反動が來るからその強弱によつて涙嚢内腔の大小を推察し,手術の難易を豫測する。勿論小涙管に狹窄又は閉塞があれば手術の適應外である。
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