特集 眼科臨床の進歩Ⅰ
ビニル管長期ブジー法による涙管閉塞竝に涙嚢炎の治療
大塚 任
1
1東京醫齒大眼科
pp.903-905
発行日 1952年11月15日
Published Date 1952/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201322
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緒言
涙道閉塞或いに狹窄の治療として,古來ブジー挿入が行われているが,これは繰返している中に次第に癒着を強くし,かえつて高度の閉塞を來すことが屡々であり,又一時効果があつた如く見えても再び閉塞し,涙管の開通を來すことは非常に少いことは衆知である。又慢性涙嚢炎の治療として一般には涙嚢剔出が行われて居るが,これでは流涙は治らない。又流涙の殘らないToti氏手術は合理的ではあるが手術が難しく,一般には行い難い。1945年MuldoonはVitaliumでつくつた管を鼻涙管にはめ込んで,涙嚢炎を治癒せしめる方法を考案し,昭和25年市川健三氏がこれをレヂン管に代え,これ等により,涙嚢剔出の煩雑はかなり除き得るに至つた。しかし,涙嚢炎でも容易に鼻涙管の開通しうるものがあり,かかるものは必ずしもかかる手術を要せずして,治癒せしめうる筈である。そこで私は銅線被覆に用いる鹽化ビニル管所謂エンパイヤチユーブの一種を用い,涙管閉塞に対し長期ブジー法を考案した。
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