臨床實驗
ヒアルロニダーゼの髓液、房水、硝子體内ビタミンB1移行に及ぼす影響に就て
岸本 正雄
1
1京大眼科
pp.322-326
発行日 1952年4月15日
Published Date 1952/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201139
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緒言
擴散因子としてのビアルロニダーゼ(以下Hyal.と略す)は最近盛に喧傳せられ既に基礎的實驗吟味の時期を經過し去つたかの感あり,本酵素が結合組織の線維間隙を充填して結合組織講成上の基礎物質をなしているヒアルロン酸を加水分解してその粘稠度を減少することにより組織透過性を高めるという性質を利用して夙に臨床的應用の域に入つている。即ち局部の浸潤竝に傳達麻痺,大量の液體を皮下注射する場合等に藥物の局所に於ける浸潤擴散を助長する目的で使用されている。眼科領域に於てもLinn and Ozment1),Lebensohn2),極く最近では我國に於ても數氏によるその臨床的應用方面の報告を散見する。
一方Duran-Reynals(1942),Aylward(1942),Elster及共同研究者3)4),Benditt及共同研究者5)によつてHyal.は擴散因子としての作用と平行して毛細血管壁透過性を最も高める作用ありと云われる。
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