特集 第6回日本臨床眼科学会講演集(普通講演)
(17)硝子體液の物理化學的性状に就て
井上 豊子
1,2
1東京醫科齒科大學生化學教室
2東京鐵道病院眼科
pp.113-115
発行日 1953年2月15日
Published Date 1953/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201415
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
私はすでに東京眼科集談會に於て發表して來た樣に,硝子體液の物理化學的性状特に粘稠度の究明に當つて來た。先に山本氏の種々の研究により硝子體液も又一般膠質化學の對照になり得る事が確認されたのであるが,私は之等のGelの性質を追究しようとして研究を進めて來た。其の結果はすでに發表濟みの様に硝子體液の粘稠度はpHに影響されpH 5附近に一つの山が見られた。(第1圖參照)しかるに之等のpH系列に展いた稀釋硝子體液にフォルマリンを加え,24時間放置した後の粘稠度を測定して見ると,前述の無處置硝子體液に見られたpH 5附近の山は消失し,且つ無處置硝子體液では何にも見られなかつたpH 7〜8附近に一つの新しい粘調度曲線の山が認められた。(第2圖參照)
私は此の2つの現象に就て無處置硝子體液に見られるpH5附近の山と,フォルマリンを加える事により生ずるpH 7〜8附近の山とは恐らく其の發現の機序が異るものであろうと考えて見た。
Copyright © 1953, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.