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抗療性梅毒に於てその血清反応に及ぼすビタミンB1の影響
倉持 正雄
1
,
林 敏雄
1
,
小板橋 定夫
1
1慶応義塾大学医学部皮膚泌尿器科教室
pp.77-79
発行日 1955年2月1日
Published Date 1955/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201362
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緒言
梅毒の治療にあたり,殊に所謂抗療性梅毒に於て長期且充分なる駆梅療法を行つても,なお且つ血清反応の陽性であるのは果して未治のためか,或いは梅毒とは無関係に非特異的に反応するものであるか現在のところこの判定は困難である。そして梅毒の治療と同時に斯る血清反応を陰性化せしめんとする試みとして,古来加熱牛乳,硫黄剤マラリア原虫,胎盤抽出液等の発熱性物質があり更に近時大腸菌乃至腸チフス菌濾液或は副腎皮質剤等の応用の報告がある。
Ferreira-Marques(1951)は始めてV.B.複合体を頭痛を伴つた梅毒患者に試みた結果,15例中血清反応は10例陰性化,3例弱化,2例不変の成績を得,これはV.B1のみが有効でV.B2,V.B6では影響がなかつたと報告し,ついでGreither& Kittsteiner(1953)は之を追試して臨床例の約70%に抗体価の一過性減弱を認めたとしている。我々は叙上の報告に興味を覚え,抗療性梅毒患者にV.B1投与を試みてその血清反応に如何なる変化を来たすかを検べたので茲に報告する。
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