臨床實驗
炎症に對する治療に就て(1)—結膜炎の治療
呉 基福
1
1日本醫大眼科
pp.484-486
発行日 1951年8月15日
Published Date 1951/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200906
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緒言
臨床と理論は常に兩車輪の如くに回轉して始めて實際的の効果が擧げられるものである。治療の理論的裏付けは極めて重要であって,吾人の最も頻繁に遭遇する炎症に就ても炎症の形態學的變化及び本態と治療の間には正しい關連がなければならない。しかしながら炎症の本態に就ては尚明確なる解決が與えられていない。しかも尚吾人は毎日炎症の治療に從事しなければならないのである。此處に於て私は嚢に正常角膜周擁毛細血管の血流,透過性,構造,トーヌスに就て,又炎症時に於ける角膜周擁毛細血管の血管新生,循環障碍,滲出,トーヌスの變化に就て諸種藥剤を點眼しつつ細隙燈顯徴鏡を用いて生體顯微鏡的觀察を行つたのであるが,其の目的は角膜の榮養と炎症時に於ける循環障碍,滲出,血管新生等の形態學的諸變化及び炎症の本態に關する諸問題の究明であつた(日眼參照)更に進んで私は炎症に對する治療に就て諸種藥劑の結膜炎及び角膜炎に及ぼす効果を臨床的に細隙顯微鏡を用いて視察したのである。前者の諸實驗の結果は勿論炎症に野する知識に1小資斜を提供するものにすぎず,後者に就ては臨床經驗の淺い私にとつては經驗的裏付けが弱く十分によく爲し得る所のものではない。從つて今茲に述べんとする所のものは今迄の小實驗の綜括であり,又此實驗により導出された結論が治療と如何なる關連を保つべきであるかを極めて總論的に局所的藥劑的治療の立場より論ぜんとするだけである。
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