臨床實驗
急性アレルギー性(眼瞼)結膜炎に就て
後藤 匡
1
,
八木 橋彰
1
1日本大學眼科
pp.49-58
発行日 1954年1月15日
Published Date 1954/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201718
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Pirquetが1906年にアレルギー學説を提唱して以來,各分野に於てその原因がアレルギーによつて解明せられる事が多くなり,眼科部門に於ても1928年にSeefelderにより續いて林,Kruckma-nn等によつて春季カタルの原因がアレルギーに依るものとされてより,その後多くの疾患がアレルギー性病變と見做されて來ている。アレルギー性結膜炎乃至眼瞼炎は是等の中にあつて特にその抗原が比較的容易に證明せられる事から,多種多樣のものが擧げられ「アトロピン」「コカイン」「ヂオニン」猩紅軟膏等の點眼に依るもの又,その他動植物性の物質に屬するものも種々報告されている。尚,從來より白髪染による急性結膜炎が特異の症状を呈する事は一般の興味をひき,今日是もアレルギー性結膜炎の代表的なものの一つとされている。
所で戰後各種の抗生物質,或はスルフアミン系統の點眼藥が廣く一般に市販せられ,又我々もその診療に好んで長期に亘つて連用するようになり是等の藥劑或はその基劑に對する急性のアレルギー性結膜炎乃至は眼瞼炎が急激に増加の傾向を示して來ている。然しながら此の急性アレルギー性結膜炎に關して,少數例の症例報告は多數見られるが未だその詳細なる報告には接していない。
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