臨床實驗
健眼並に緑内障眼の負荷試驗に就て—第8報 眼壓の負荷試驗に就て
鎌尾 保
1
1大分縣立病院
pp.387-388
発行日 1951年6月15日
Published Date 1951/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200875
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緑内障は我眼科界では其の原因の不明な疾患としてトラコーマ,近視,白内障,網膜剥離等と共に古來世界の多數の學者により種々研究せられて來たが末だに其の本態は不明のままである。本疾患は眼壓上昇と種々特有なる機能障碍や,臨状並に病理組織學的所見を伴う疾患であり,何と云つても眼壓上昇が重要なる症状である。然らば此の眼壓上昇と云うことは何故起るのであろうか。今正常人眼の眼壓をSchiotz眼壓計で測定してみると各個人間には相當の差(13mm水銀柱〜27mm水銀柱)があるにも拘わらず各個人に就ては日々殆んど一定であり,又1日中でも時間的の差即ち目差が先ず2〜4mm水銀柱を出でないのが普通である。以上のことから考えると緑内障は此の眼壓の自動調節機能が障碍されて異常な眼壓の上昇がおこるのではないかと考えられる。
そこで私は正常人眼の眼壓調整機能は如何なるものであるかを知らんとして先ず第1報に於て述べた如く人眼球を加壓すると云う方法を取つてみた。即ち眼球を壓迫すると壓迫中はそれに應じて眼壓は上昇するがその間眼壓は徐々ながら下降する。然し初壓以下には決して下降しない。所が壓迫を取除くと急激に初壓以下に下降しそして恢復していく。而して壓迫中の眼壓曲線もそうであるが壓迫除去後の眼壓曲線は壓迫の量拉に時間の相違によりて變化して行くものであろうか。
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