臨床實驗
利眼の研究—第1報所謂利眼に就ての實驗的批判
長又 博之
1
1大阪醫大眼科
pp.444-447
発行日 1949年10月15日
Published Date 1949/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200462
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緒言
利眼とは一般に採用されている定義によれば,我々が前方の一點を注視した際に,兩眼は平等にこれに働きかけているのでわなくて,一眼はこれに向い(注視し--利眼),他眼はこれから外れている(茫然と見ている)というのであるが,この定義は明らかに,雨眼視は兩眼が平等に外界,に働きかけ,兩眼網膜に於ける相對應する印象が,一つの主觀的感覺を成立せしむるという概念と完全に對立するものである。
その事の最も端的な表現として莊司氏は,「兩眼の視力ほゞ同一にして兩眼視するに際し,吾人は無意識的に一眼を以て稍々茫然と觀望する間に他眼を以て著眼諦視するを普通とす。その後者を利眼という」。と述べ,豊島氏は,「一目標を兩眼視する際は,大多數の人は,一眼を以て目標を注視し,他眼は荘然と見ている。即ち他眼の視線は目標に向はずして傾斜している。この主として注視に使はれる眼を利眼と呼ぶと述べている。
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