臨床實驗
健眼並に緑内障眼の負荷試驗に就て—第5報 全身血壓の變動による眼壓の變動に就て/第6報 散瞳藥による眼壓變動に就て
鎌尾 保
1
1熊本醫大眼科
pp.167-172
発行日 1951年3月15日
Published Date 1951/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200801
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緒言
眼壓と血壓との關係に就てはWessely (1912)は家兎に於て血壓と眼壓が密切な關係のあることを證明して以來多數の研究がある。然るに臨床的に高血壓患者の眼壓は普通正常であり又緑内障患者の血壓が必ずしも高くないことからこれに反對するものも出て來た。その後これらの事實に對する説明として正常眼は眼壓の自動調節作用があり,急激な血壓の變動に對して眼内壓はこれに相當して變化するが正常眼では直に自動的に眼壓の調整を行つて眼壓上昇と云う結果を來さないにかかわらず緑内障眼では急激な血壓の變化に對して自動調節が行われずに眼壓上昇と云う結果を來たしその後血壓上昇と云う事實が去つても眼壓上昇のみが殘存すると説明している。
Löhlein,(1912) Thiel (1925)は此の血壓を上昇せしめる方法としてコーヒー試驗,又はサリチル酸ソーダカフエィン注射と云う方法を取つている。即ちコーヒー試驗では45gのコーヒーを150c.c.の熱湯で滲出してそれを被檢者に飲用させてその後の眼壓の變化を測定すると云う方法である。後者の方法はサルチル酸ソーダカフエインを靜脈内に0,2g注入するのである。之等の方法によると正常者では認むべき眼壓の變化がないにもかかわらず線内障患者では血壓の上昇と共に眼壓の上昇を來すと云うのである。
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