臨床實驗
わが國の球後視束炎と多發腦脊髄硬化症の問題
桑島 治三郞
1
1東北大分院眼科
pp.383-386
発行日 1951年6月15日
Published Date 1951/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200874
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球後視束炎が多發腦脊髓硬化症の最も重要にしてかつ頻發する症状であると同時に,後者が前者の最も重要にしてかつ頻發する原因であり(Behr),兩者はgleichb-edeutendの關係にあることは,歐米,特にドイツ學派の強調している處である。然るにわが國にあつては,球後視束炎は多數あるが,多發硬化症は古くから殆どないとされ,この東西の差は民族の特殊性によるものと定説化されている。いわゆるわが國獨特の球後視束炎について,古來,その原因論がやかましく論じられて來た理由はこゝに宿されている。
然し單に用語上の論理から見てもgleichbedeutendの兩疾患の中,一方があるということは同時に他方もまた當然その存在が肯定されなければならない筈である。もし事實がそうでないならば,曾て伊東の指摘した如く欧米の定説が誤つているか,わが國のそれが誤つているか,いずれかでなければならない。
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