臨床實驗
「オーレオマイシン」點眼法による慢性「トラコーマ」治療成績に就て
曲眞部 正夫
1
,
曲眞部 英子
1
1大阪遞信病院
pp.164-166
発行日 1951年3月15日
Published Date 1951/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200800
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緒言
「ペニシリン」「ストレプトマイシン」の卓效藥を創製した輓近の化學療法進歩は更に「クロロマイセチン」「オーレオマイシン」(以下「オ」と略す)「テラマイシン」等の抗生物質を陸續と産みこの優越した作用は獨り細菌界にのみならず「リケツチア」「ヴイルス」界にも廣げられている。
私等は最近入手出來た「オ」を我が銀界難活の傳染病である「トラコーマ」(以下「ト」と略す)に應用し,得たる知見があつたから茲に報告する。「オ」の性状等については,1948年Duggar氏の發見後日が淺いにも拘らず,既に仔細に研究されていて梅澤,大森,池田氏等が之れを日本に紹介するの勞を取つている。然し「オ」を眼科的に利用した報告は甚だ少く,1949年Braley.Moutinhow,Boase.三井,香川,桐澤の諸氏の報告あるに過ぎぬ。之等の報告に於ては何れも「オ」は「ト」に從來の方法より遙かに有效と結論され,就中眞摯な香川博士は治療經過を天然色寫眞に撮影され一見百聞に如かずの實を示されている。元來難治の「ト」に對する新藥の效果は過大に喧傳される傾向があるので薪藥「オ」に就ても私等はこの弊のない樣にと注意して誠實に且つ謙虚に成果を判斷して見た。即ち使用始めて以來私等に先んじて發表された成績を監視的に眺めつゝ效果を判じていた。
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