Ⅳ私の研究
外眼部疾患に對する皇漢藥洗肝散の効果
鈴木 宜民
1
1千葉醫大眼科教室
pp.129-131
発行日 1948年7月20日
Published Date 1948/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200252
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第一章 緒言
出來皇漢醫學治療法の特長は個々の病名に對して處方せず,其の個體の示す症候群即ち漢方の云ふ證に對して處方するに在ると云はれて居る。然るに漢方眼科は元,明代に於て急速なる進歩を遂げ,其れは又吾が國江戸時代に於ても廣く用ひられた處であるが,之等の中には眼症状の記載と共に病名も,可成り明確にされた者もあり,他方には本草學の發達も之に伴ひ,眼症状のみに對し或は個々の病名に對して各種の處方が使用されるようになつた。此の點傷寒論本來の治療法に反するが如き感が無いでもないが,此の間に於ける醫學の發展經路を考慮に入れれば,其れは何等怪むに足らず寧ろ必然的な結果と解せられる。即ち所謂古方では全身症状の中特に腹診,脈診,舌診等を重視し之を目標とするのであるが,眼疾の場合に於て重視さるべきは眼症状であるは云ふを俟たない。
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