特集 産婦人科漢方医学―基礎と臨床のエビデンス―
基礎研究における漢方のエビデンス
5.妊娠に対する当帰芍薬散の効果
永松 健
1
T. Nagamatsu
1
1国際医療福祉大学成田病院産婦人科
pp.251-254
発行日 2023年3月1日
Published Date 2023/3/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000002488
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妊娠に伴う負担を母体が乗り越えて健康な妊娠・出産を迎えるサポートを行う漢方の方剤は安胎薬とよばれる。当帰芍薬散はその代表であり,従来から不育症,妊娠高血圧症候群など様々な妊娠異常への使用が行われてきた。しかし,その安胎作用のメカニズムについては知見が乏しい。われわれは妊娠中に脱落膜内に集積するiNKT細胞を特異的に刺激して流産を誘導するマウスモデルを用いて,当帰芍薬散の効果について検証を行った。妊娠開始時から当帰芍薬散を摂取した妊娠マウスではiNKT細胞刺激に伴うサイトカインの異常放出が緩和されて,結果として流産が減少していることが示された。当帰芍薬散は母児間免疫バランスの維持に働くことで安胎作用が発揮されていることが推測される。
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