やさしい目で きびしい目で・4
『蘭の花を咲かせる』
本村 幸子
1
1筑波大学臨床医学系眼科
pp.707
発行日 2000年4月15日
Published Date 2000/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410906806
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この数年あまり,蘭を30数鉢育てている。温室があるわけではないので寒さに強いシンビジウムとデンドロビウム,少し寒さに順応したファレノプシスである。鉢は廊下,居間や書斎などの一隅に置いてある。深夜と不在となる昼間は防災のため暖房を切るので,曇りや雨の冬の日は結構な低温になる。このような条件下での育成に疑問はあったが,美しく開花した蘭の鉢を頂戴して,次の年も花を咲かせてみようと思ったのがきっかけであった。多くの蘭は冬に開花するし,開花期間も長い。花の少ない冬に豪華な蘭が咲き乱れていたら,幸せである。しかし,そのためには花の終わる頃から,約10か月もの手厚い管理が必要であった。
鉢に咲く花は,十分に楽しんでから時機をみて切り,切り花として最後まで楽しめる。いつまでも株に花をつけておくと,株は弱り,次には花をつけないか,花数が少なくなる。春から鉢を屋外で管理するが,株が大きくなり過ぎたものは,鉢をひとまわり大きくするか,株分けをする。そのまま放置すると,次の花つきは極めて悪い。しかし,鉢替えは,分相応のものでなければならない。大き過ぎる鉢は,根を張ることに株の力が使われて,花芽を作る余力はなく,次の開花は望めない。植替え時には,すでに出始めている新芽も整理して適切な数にすると花付きも良く,豪華な花を楽しめる。晩秋までの屋外でうまく管理できたと思っても,全く花芽が出来ず,開花してくれないこともある。このような株も諦めずに3年待つと花を付けてくれることも知った。今年もほとんどすべての鉢で花芽が伸び始めている。花数についてはこれからの楽しみである。
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