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連載 つけよう! 神経眼科力・29
一過性黒内障
Amaurosis fugax
橋本 雅人
1
Masato Hashimoto
1
1札幌医科大学眼科学教室
pp.1132-1136
発行日 2012年8月15日
Published Date 2012/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410104307
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一過性黒内障とはどういうものなのか?
一過性黒内障(amaurosis fugax)とは,網膜の一過性虚血による視力消失発作のことをさし,一過性単眼盲(transient monocular blindness)と同義語で用いられている。ギリシア語で“amaurosis”は黒内障を,“fugax”は一過性を表す。1829年,Hooper1)が器質的異常のない視力低下を示す疾患をamaurosisと最初に提唱したのが始まりである。1902年にはPosey2)が同様の疾患をtransient monocular blindnessとして報告し,さらに同年Weiss3)がamaurosis fugaxと報告したため,その後両者は混同して使用されてきたが,近年では徐々にamaurosis fugaxという名前でほぼ統一されつつある。一過性黒内障の原因は内頸動脈系の循環障害による網膜細動脈の一時的虚血であるが,日常診療において患者が眼科を訪れたとき,その症状は消失していることがほとんどである。したがって,問診が診断の重要なカギを握ってくる。
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