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連載 眼科医にもわかる生理活性物質と眼疾患の基本・24
―臨床編:各種眼疾患と生理活性物質とのかかわり―糖尿病網膜症
Diabetic retinopathy
志村 雅彦
1
Masahiko Shimura
1
1NTT東日本東北病院眼科
pp.1884-1888
発行日 2011年12月15日
Published Date 2011/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410104024
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はじめに
糖尿病網膜症は,高血糖を原因とする網膜微小循環での血管構造の障害(血管内皮細胞や周皮細胞の脱落)を基礎病態とし,血管透過性の亢進と末梢組織の虚血が引き起こされることから始まるが,そこには多くの生理活性物質の関与が考えられている。その種類も働きもさまざまであるが,血管障害をきたす高血糖由来の生理活性物質もあれば,血管障害の結果として誘導される生理活性物質もあり,さらに両者は時間的にも空間的にも複雑に絡み合っているため,一元的に理解することは難しい。
現在,糖尿病網膜症に関する生理活性物質の研究は,動物モデルによる基礎研究と,増殖糖尿病網膜症あるいは糖尿病黄斑浮腫患者の硝子体サンプル解析による臨床研究が行われている。前者は網膜症の前段階,すなわち高血糖によって誘導される生理活性物質を,後者は網膜症の進行段階,すなわち血管障害による視機能障害をきたした状態での生理活性物質を分析・検討しているといえる。
しかしながら基礎研究,臨床研究のいずれにおいても,現時点では個別の生理活性物質についての研究が主体であるため,本稿ではそのいくつかを紹介するにすぎないことを断っておく。
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