特集 眼科診療:5年前の常識は,現在の非常識!
3 緑内障
スペシャルレクチャー
緑内障の遺伝子
池田 陽子
1
,
中野 正和
2
,
森 和彦
1
1京都府立医科大学大学院医学研究科視覚機能再生外科学
2京都府立医科大学大学院医学研究科ゲノム医科学
pp.238-242
発行日 2011年10月30日
Published Date 2011/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410103944
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緑内障関連遺伝子の探索
最初の緑内障関連遺伝子は1993年に同定,報告1)された。この時代の遺伝子解析は,緑内障家族歴を持つ家系患者の血液検体を多数集め,ゲノム上の反復配列の多型解析から原因となる遺伝子を割り出す連鎖解析の手法がとられた。ミオシリン2),オプチニューリン3),WDR364)などの遺伝子はこのような手法を経て同定された染色体領域から発見されている(図1a左)。その後,2002年に始まる国際HapMap計画*注1を経てDNAマイクロアレイ*注2/GWAS(Genome-Wide Association Study)*注3の時代となる。
アレイ導入以前の遺伝子多型解析に必要な費用は非常に高く,国家プロジェクトでなければ研究を行うことができなかったが,国際HapMap計画のアレイの導入によって価格崩壊が起きたため,一般研究者の参入が可能となった。アレイ自体も発展しており,2007年に報告された落屑緑内障のLOXL15)は300Kアレイ〔30万個の一塩基多型(single nucleotide polymorphism:SNP)解析が可能〕が,2009年に筆者らが報告した広義原発開放隅角緑内障(primary open angle glaucoma:POAG)解析6)には500Kアレイ〔50万個のSNP〕が用いられている。現在は1,000Kアレイを使用する解析例が増加しつつある(図1a中央)。さらに第2世代シーケンサーの登場により,遺伝子解析は新たな時代となった(図1a右)。
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