これからの緑内障診療のために「緑内障と遺伝子」
①原発開放隅角緑内障の原因遺伝子
志賀 由己浩
1
1東北大学医学部医学系研究科眼科学教室 非常勤講師
pp.59-61
発行日 2019年8月30日
Published Date 2019/8/30
DOI https://doi.org/10.34449/J0024.00.58_0059-0061
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緑内障の主要病型である原発開放隅角緑内障(primary open angle glaucoma:POAG)は遺伝要因が発症に関与することが知られており,遺伝要因の解明は病態理解や治療法の開発に貢献すると期待されます.POAGの遺伝背景には2つのパターンがあります(図1).1つ目は,ある1つの遺伝子(原因遺伝子)の変異によりPOAGを発症するタイプで,頻度が1%未満の稀な変異(希少変異)によって引き起こされます.若年発症のPOAGと診断されるものが多く,メンデル遺伝形式に従う家族内集積がみられます.2つ目は,POAGの大部分のタイプであり,遺伝的影響度が少ない多数の一塩基多型(single nucleotide polymorphism:SNP)が累積して疾患リスクを高めていると考えられているものです.近年ゲノムワイド関連解析(Genome-wide association study:GWAS)という手法が用いられ,POAGに関連するSNPが次々と明らかとなってきました.本稿では全2回にわたって,遺伝背景のパターン別に緑内障における分子遺伝学研究の代表報告をまとめ,それぞれの臨床的意義について考えてみたいと思います.今回は代表的なPOAG原因遺伝子であるミオシリン遺伝子,オプティニューリン遺伝子およびTBK1遺伝子に関する最新の知見を紹介したいと思います.
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