やさしい目で きびしい目で・126
疫学研究から学んだこと
安田 美穂
1
1九州大学大学院医学研究院久山町研究室
pp.1001
発行日 2010年6月15日
Published Date 2010/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410103236
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今から約10年前,教授の一声で思いがけず50年も続いている疫学研究「久山町研究」に眼科として参加し研究させていただくことになった。恥ずかしながら勉強不足で久山町研究についてまったく知らず,「どこかの町に住民健診に行ってデータを集めてくればいいんだろう」などと簡単に考えていた私。その後,久山町研究室の扉をたたき,そこで初めて単なる住民健診ではなく50年も続いている長期の追跡調査であるということを知った。
研究に参加してまず一番に驚いたことは追跡率の高さである。久山町研究では40歳になると全員が研究対象者となり,どのような生活習慣があるか,どのような疾患を持っているか,またはどのような疾患を新たに発症したか,どのような死因で亡くなったかなど死ぬまで追跡されることになっている。これは久山町を転出してどこに移り住んでも同じように死ぬまで追跡される。なんと50年近くも追跡調査を行っているにもかかわらず,これまで99%と驚異的な追跡率を誇っており,健診を開始してから死ぬまで追跡できなかった人はわずか2人である。
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