特集 公衆衛生への提言
教育・研究
疫学研究に想うこと
山本 俊一
1
1東京大学医学部衛生学
pp.549-550
発行日 1976年8月15日
Published Date 1976/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205244
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私の奉職している衛生学教室は,東京大学医学部一号館の中にあるが,最近ここで嬉しい出来事が引き続いて起こっている.それは,昨年秋に薬理学教室の江橋節郎教授が文化勲章を授与され,また今年になって化学教室の山川民夫教授が学士院賞を受賞されたことである.そもそも,この古めかしい建物の中には,われわれの衛生学講座のほかに,生化学,生理学,薬理学がそれぞれ2講座ずつ,それに細菌学の合計8講座があるが,8人の現職教授のうち2人が受賞されたのであるから,これは並々ならぬことである.しかも,このほかにも,将来の受賞の有力候補者と目されている教授が何人かおられる.
ところが,この場合の唯一の例外は,外ならぬ衛生学の主任教授である私自身である.これを自遜的な告白と受け取らないようお願いしたいのであるが,衛生学教室にいて疫学を専門としているようでは,このような最高の受賞の栄に浴することが決してないであろうことは,自他ともに認めるところである.
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