連載 EBN実践につなげる! 栄養疫学研究最新トピックス⑨
日本人における糖類の疫学研究
藤原 綾
1
Aya Fujiwara
1
1内閣府食品安全委員会
キーワード:
糖類基準値
,
日本人の食事摂取基準
,
糖類成分表
,
食事療法質問表
,
nutrient dilution
,
非感染性疾患
Keyword:
糖類基準値
,
日本人の食事摂取基準
,
糖類成分表
,
食事療法質問表
,
nutrient dilution
,
非感染性疾患
pp.686-692
発行日 2025年10月1日
Published Date 2025/10/1
DOI https://doi.org/10.32118/cn147050686
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はじめに
単糖類および二糖類から成る糖類の過剰摂取が,肥満やう歯の原因であることは広く知られている1,2).諸外国においては総摂取量に当たるtotal sugars(総糖類)ではなく,added sugars(添加糖類)またはfree sugars(遊離糖類)を対象として摂取量に対する基準値を設けている.
わが国においては,2024年10月に「日本人の食事摂取基準(2025年版)」3)が公表されたものの,2015,2020年版に引き続き糖類の目標量の設定は見送られた.その理由として,添加糖類および遊離糖類の摂取実態が十分に明らかにされているとは言い難いこと,日本人の糖類摂取量が諸外国の基準値に比べて低い可能性があり,指標を定める意義やその設定方法を慎重に検討する必要があること,があげられている3).
このような現状を踏まえ,本稿では,日本人の食事摂取基準における糖類の基準値策定を検討するための基盤として,著者らの研究グループが発表した一連の糖類の疫学研究を紹介する.

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