今月の表紙
視神経乳頭黒色細胞腫
小林 泰子
1
,
近本 信彦
1
,
根木 昭
2
1山口大学
2神戸大学
pp.841
発行日 2010年6月15日
Published Date 2010/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410103203
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- 文献概要
症例は40歳女性。眼鏡処方のため近医を受診したところ,左眼視神経乳頭部に黒色調の色素沈着を指摘され,精査・加療目的で当科を紹介され受診した。初診時,左眼視力は矯正1.0,眼圧は18mmHgで,対光反射良好,前眼部・中間透光体に異常所見はなく,視神経乳頭部に連続する黒色調の隆起性の病変を認めた。腫瘍病巣の大きさは,Bモード超音波検査で直径3.5mm,高さ1.6mmであり,硝子体中には細胞は認めなかった。フルオレセインおよびインドシアニングリーン蛍光造影検査では,網膜・脈絡膜ともに初期から後期にかけて低蛍光であり,腫瘍血管などの異常血管はみられなかった。視野は鼻側下方視野の狭窄を認めた。以上から視神経乳頭黒色細胞腫と診断した。造影コンピュータ断層撮影では,左眼視神経乳頭部に高吸収領域を認めたが,全身的に明らかな異常はなかった。8年後の最終受診時(表紙写真撮影日),腫瘍径の高さは2.0mmと増大したものの,矯正視力は変化なく良好で,硝子体腔への播種は認めず全身的にも転移はみられない。しかしながら,視野障害は進行し中心10°~15°を残して鼻側・耳側の下方周辺視野の狭窄をきたしていた。
撮影には,TOPCON社製TRC-50AXを用い,画角50°で撮影した。全体像が捉えられるように撮影時には,ファインダーを覗いたときに突出している黒色細胞腫と網膜面の双方を写し込めるようにピントを合わせた。
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