特集 眼科外来診療マニュアル—私はこうしている
外来診療のポイント—私はこうしている
所見からみた疾患
視神経乳頭異常
木村 徹
1,2
Tohru Kimura
1,2
1ひかり会
2木村眼科内科病院
pp.1563-1567
発行日 1989年9月30日
Published Date 1989/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410210991
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乳頭の異常所見は,主なもので,境界不鮮明・充血・腫脹・萎縮・陥凹などがあげられる。近年,これらは研究の進歩によって,より定量的に観察されるようになり,例えば陥凹の大きさもCup径とDisc径の比としてC/Dで,さらにCup面積/Disc面積,C/D面として表現され,さらに陥凹の形状や深さなども立体像として,写真やコンピューター画像解析装置で分析されるようになった。と同時に静的視野の計測法の進歩により,視野障害が微細なものから,鋭敏に定量的に測定され,両者が容易に比較できるようになってきたので,乳頭異常のもつ意味が視神経線維障害として,飛躍的によく理解しうるようになってきた。さらに,視神経線維の消耗,欠損,乳頭陥凹拡大が視野変化に先行し,視野異常はある程度の神経線維量が消失して始めて検出されることが判明したことは特筆される。また,実験的研究において,軸索輸送の研究が新生面を開き,乳頭の浮腫や萎縮の病態が正確に把握できるようになった。これらにより,視神経・網膜疾患や緑内障・頭蓋内病変の診断に乳頭の診かたはますます重要となってきた。本稿はこれらの乳頭異常のチェックポイントを概説し,鑑別診断をより的確に行えるように記した。各疾患の病態は,紙面の制限のため一部しか,また,治療法については言及できなかったことをお断わりしておく。
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