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連載 公開講座・炎症性眼疾患の診療・26
Behçet病
Behçet disease
南場 研一
1
,
北市 伸義
1
,
大野 重昭
2
Kenichi Namba
1
,
Nobuyoshi Kitaichi
1
,
Shigeaki Ohno
2
1北海道大学大学院医学研究科眼科学分野
2北海道大学大学院医学研究科炎症眼科学講座
pp.630-636
発行日 2010年5月15日
Published Date 2010/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410103166
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はじめに
Behçet病の病名はトルコ・イスタンブール大学皮膚科初代教授であるHulusi Behçetが1937年,口腔内,外陰部,眼球の炎症を呈する疾患を報告したことによる(図1)。本病は口腔内アフタ性潰瘍,皮膚症状,外陰部潰瘍,眼病変を4主症状とする全身疾患であるが(図2),意外なことに皮膚科医であるBehçet自身は皮膚症状を記載していない。また古代ギリシアのヒポクラテス(図3)は紀元前5世紀に,そして後漢時代の中国でも紀元2~3世紀に活躍した張仲景が「狐惑病」という名で本病を記載している1)。したがって本病は20世紀に突然出現した疾患ではなく,古代から存在していたと考えられる。
多発地域はユーラシア大陸の北緯30~45度に偏在しており,その地域特性からシルクロード病ともいわれる2)。青壮年期に発症し,視力予後不良の疾患であるが3),近年有効性の高い新しい治療法が登場し,視力予後の改善が期待されている。
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