連載 もっと医療コミュニケーション・27
コミュニケーションの技術を覚えると医師の満足感が上がる
綾木 雅彦
1
,
佐藤 綾子
2,3
1昭和大学藤が丘リハビリテーション病院眼科
2日本大学藝術学部
3国際パフォーマンス研究所
pp.354-357
発行日 2010年3月15日
Published Date 2010/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410103116
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私が医師になった1982年頃は,医師が笑顔でいましょうとか,目を合わせましょうなどと聞くと,そんな小手先のことでごまかすような医師になってはいけない,医師はポーカーフェイスでいつも冷静沈着でいるのが美徳,と信じていました。一方では,“Listen to the patient, he is talking diagnosis”という言葉が教科書に載っていましたが,どうすればよいのか教わることはできませんでした。
その背景には医学や医療の歴史がありますが,それは別の機会に譲るとして,コミュニケーション技術は医療を行ううえでの基本であるにもかかわらず,わが国では21世紀になってから医学部での教育が全国規模でやっと始まりました。そんな時代の節目に,私たちは医療をしています。これは,時代や患者からの要請などではなく,注射や触診のように本来医師に必修とされる知識・技術が,ようやく体系立って学問として成立してきただけなのです。
本連載の最終回となる今回は,きちんとコミュニケーションの講義を受けたわけでもない40歳代の医師が,ゆっくり習得していった過程を紹介します。
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