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連載 公開講座・炎症性眼疾患の診療・22
急性出血性結膜炎
Acute hemorrhagic conjunctivitis
青木 功喜
1
,
北市 伸義
1
,
大野 重昭
2
Koki Aoki
1
,
Nobuyoshi Kitaichi
1
,
Shigeaki Ohno
2
1北海道大学大学院医学研究科医学専攻感覚器病学講座眼科学分野
2北海道大学大学院医学研究科医学専攻炎症眼科学講座
pp.18-22
発行日 2010年1月15日
Published Date 2010/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410103052
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はじめに
1969年アフリカのガーナでそれまで未知の急性結膜炎が発見され,感染はまたたく間に東半球各地に及んだ1)。当時アメリカのアポロ計画で人類が月面へ到達したことから,当初は宇宙からもたらされた病気(アポロ病)とも考えられた。病因は,ともにエンテロウイルス(EV)に属するEV70とコクサッキーウイルスA24変異株(CA24v)である。
EV70は1971年,当時国立予防衛生研究所の甲野礼作ら2)によって発見された。北海道大学眼科の杉浦清治教授(当時,図1)はその臨床的特徴から本症を急性出血性結膜炎(acute hemorrhagic conjunctivitis:以下,AHC)と名づけた。この疾患名はいまも世界中で用いられており,現在世界標準株として用いられているものは北海道大学病院眼科での分離株である3)。一方CA24vは,1970年9月にシンガポールに発生したAHC患者から分離された4)。同じAHCを起こす2つの病原体がなぜ時期を同じくして人間社会に出現したのかは,いまもって不明である。
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