Japanese
English
連載 日常みる角膜疾患・70
緑膿菌感染症
Pseudomonas aeruginosa infection
山田 直之
1
,
近間 泰一郎
2
,
西田 輝夫
1
Naoyuki Yamada
1
,
Tai-ichiro Chikama
2
,
Teruo Nishida
1
1山口大学大学院医学系研究科情報解析医学系学域眼科学分野
2山口大学医学部眼病態学講座
pp.18-20
発行日 2009年1月15日
Published Date 2009/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102575
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症例
患者:29歳,男性
現病歴:前日からの右眼の眼痛を主訴に近医を受診し,右眼の角膜潰瘍の診断を受け,精査・加療目的で同日に当院へ紹介され受診した。2週間頻回交換レンズを装用していた。
初診時所見:視力は右0.05(0.1),左0.09(1.5)であった。右眼角膜は中央部に輪状膿瘍を伴った融解傾向の高い角膜潰瘍を認め,周囲の角膜はスリガラス様であり,前房蓄膿を伴っていた(図1)。病巣搔爬を行い,塗抹鏡検および微生物培養検査を行った。また,コンタクトレンズケースとコンタクトレンズ保存液も塗抹鏡検と微生物培養検査を行った。
経過:当日緊急入院のうえ,局所投与としてジベカシン(パニマイシン®)点眼1日6回,レボフロキサシン(クラビット®)点眼1日6回,セフメノキシム(ベストロン®)点眼1日6回,エリスロマイシン・コリスチン(エコリシン®)眼軟膏1日2回,全身投与としてスルバクタム・アンピシリン(ユナシン-S®)1日3g点滴で加療を始めた。
治療開始から右眼角膜の融解は停止し,徐々に上皮欠損が縮小した。角膜擦過物およびコンタクトレンズ保存液から,培養で緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)が検出された。その後,潰瘍は徐々に縮小していき,治療開始から18日目に感染徴候もみられないことから退院とした。治療開始後2か月には円形の角膜瘢痕はあるものの,視力は右0.08(1.0)まで回復した(図2)。
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