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連載 日常みる角膜疾患・64
角膜ジストロフィと遺伝子
Corneal dystrophies and genes
山田 直之
1
,
近間 泰一郎
2
,
西田 輝夫
1
Naoyuki Yamada
1
,
Tai-ichiro Chikama
2
,
Teruo Nishida
1
1山口大学大学院医学系研究科情報解析医学系学域眼科学分野
2山口大学医学部眼病態学講座
pp.1044-1047
発行日 2008年7月15日
Published Date 2008/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102301
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症例
患者:73歳,女性
主訴:右眼の眼痛
現病歴:2005年4月,右眼の眼痛を主訴に当院の一般内科を受診し,精査目的で当科へ紹介され受診となった。
初診時所見:視力は右0.05(0.1),左0.3(0.4)であった。細隙灯顕微鏡検査にて右眼の角膜にlattice lineを認めたが,左眼の角膜には認められなかった(図1)。右眼は睫毛乱生を認めた。Hessチャートにて右眼は全方向への眼球運動制限を認めた。眼痛と眼球運動障害を伴うことから頭蓋内および眼窩における病変の存在を疑い,CT(computed tomography),MRI(magnetic resonance imaging)検査を施行した。
経過:MRI検査にて,右海綿静脈洞から眼窩尖端部にかけて炎症性の変化を認め,Tolosa-Hunt症候群と診断した。ステロイドの全身投与にて眼球運動は改善し,眼痛も消失した。一方,角膜病変については格子状角膜ジストロフィを疑い,TGFBI遺伝子について遺伝学的検討を行った。しかしながら,格子状角膜ジストロフィⅠ型をきたすR124C1)変異をはじめTGFBI遺伝子の他の変異も認められなかったので,角膜ジストロフィを否定した(図2)。片眼性であること,家族歴をもたないこと,患眼に睫毛乱生があることなどから,最終的には続発性角膜アミロイドーシスと診断した。
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