特集 網膜硝子体診療update
Ⅳ.注目の疾患
2.病的近視と特発性脈絡膜新生血管
近視性脈絡膜新生血管に対する光線力学療法と薬物療法
大野 京子
1
1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科眼科学
pp.274-281
発行日 2008年10月30日
Published Date 2008/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102501
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はじめに
近視の頻度には人種差があり,アジア人に多いことが知られている。なかでも強度近視は,眼軸の延長に伴い眼底後極部にさまざまな病変を生じ,視力低下の原因となる。平成17年度の厚生労働省研究班の視覚障害者の原因疾患別調査によると,強度近視は日本での視覚障害原因の第5位である1)。また中国では,強度近視は視覚障害原因の第2位を占めている2)。強度近視眼において視覚障害をきたす病変としては,近視性脈絡膜新生血管(以下,近視性CNV),黄斑分離症,黄斑円孔,強度近視に伴う視神経障害などが挙げられるが,頻度的に最も重要なのが近視性CNVである。
近視性CNVに対しては,これまであまり有効な治療法がなく,診断されても多くの症例で経過観察されていたのみであったが,近年,近視性CNVに対しても光線力学療法(photodynamic therapy:PDT)3~6)やベバシズマブ(アバスチン®)など新しい治療方法の有効性が報告されている7~9)。そこで本項では,長期間にわたり近視性CNVの自然経過をみてきた筆者らの視点から,近視性CNVに対するPDTおよびベバシズマブを主軸とした薬物治療について概説する。
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