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はじめに
加齢黄斑変性(age-related macular degeneration:AMD)の中心窩脈絡膜新生血管(choroidal neovasucularization:CNV)に対するベルテポルフィン(ビスダイン®)と689nmのレーザー光の組合せによる光線力学療法(photodynamic therapy:PDT)は,わが国で唯一承認されている治療法であり,承認から4年が経過した。日本より4年以上も前にPDTが承認されている欧米では,視力の改善が期待できる血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth facter:VEGF)阻害薬の硝子体注射が定着してきており,視力の改善が期待できないPDTは治療の第一選択となっていない。今後,日本でも抗VEGF薬の硝子体注射が承認されるが,欧米と同じようにPDTは第一選択の治療とならないのであろうか。白人とわれわれ黄色人種はAMDのタイプが異なる場合がある。ポリープ状脈絡膜血管症(polypoidal choroidal vasculopathy:PCV)は白人にみられることは少ないが,黒人や黄色人種に多くみられ1),日本人ではAMDの57%にみられるとの報告もある2)。このことは,AMDに対する治療方針が欧米と同じにならない理由になる。
本項では,現時点での日本人におけるPDTの成績と,その結果からつくられた「日本版眼科PDTガイドライン」3)を紹介し,現時点での適応について述べる。次にPCV,網膜内血管腫状増殖に対するPDTの成績と今後の適応について述べる。PDTによる脈絡膜血管の循環障害による網膜機能の低下4)も指摘されており,治療回数を可能な限り少なくしてPDTの負の影響を減らす目的と治療効果を上げる目的で,PDTの単独療法からトリアムシノロンや抗VEGF薬の硝子体注射との併用療法へと治療方法が変わりつつあるが,この併用療法については他項で触れられるので省略する。
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