特集 網膜硝子体診療update
Ⅳ.注目の疾患
1.加齢黄斑変性
光線力学療法と薬物療法の併用
石川 浩平
1
1名古屋大学大学院医学系研究科頭頸部・感覚器外科学講座(眼科学)
pp.225-231
発行日 2008年10月30日
Published Date 2008/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102492
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はじめに
滲出型加齢黄斑変性(age-related macular degeneration:AMD)に伴う脈絡膜新生血管(choroidal neovasucularization:CNV)に対する光線力学療法(photodynamic therapy:PDT)は,欧州においてはオカルトタイプのCNVに対してはプラセボと比較して視力低下抑制効果に有意差がないとのことで適応から除外された。また,あらゆるタイプのCNVに有効とされ,PDTと比較しても治療効果が高いとされる抗血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)療法1,2)の登場に伴い,欧米ではPDTの行われる機会が減少している。
一方,わが国でのPDTは最近公表されたガイドラインによると,どの造影タイプに対しても有効性があり,病変がアジアで多いとされるポリープ状脈絡膜血管症(polypoidal choroidal vasculopathy:PCV)である場合はその有効性がさらに高いとされており3),現在でも重要な位置を占める治療方法である。また,未だわが国では認可された抗VEGF薬はないものの,薬剤による治療も急激な広がりみせている。しかし,これらPDT,抗VEGF療法ともに万能とはいえず,後述するそれぞれの弱点を補う方法として,薬剤を併用したPDTが行われる機会が増加している。本項では,現在わが国での滲出型AMD治療の主流となりつつある薬剤併用PDTについて解説する。
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