消化管領域における光線力学診断と光線力学療法

Photodynamic diagnosis and photodynamic therapy in the gastrointestinal field

　消化管癌は国内で罹患数，死亡数ともに上位を占める癌腫であり，早期診断・治療の臨床的意義は大きい．ヘリコバクター・ピロリ除菌後胃癌やバレット食道腺癌，炎症性腸疾患関連腫瘍は，従来の内視鏡観察では診断に限界があり，光線力学診断（PDD）がこれを克服する有望な方法となるかもしれない．具体的には自家蛍光内視鏡の臨床応用のほか，5-アミノレブリン酸（5-ALA）を用いた研究が進行中である．光線力学療法（PDT）では食道癌に対するタラポルフィンナトリウムを用いた治療が確立され，化学放射線療法（CRT）後の局所遺残再発に対して高い奏効割合が示された．将来的には光免疫療法を食道癌に適用することを目指し，臨床試験が進行中である．超高齢社会における低侵襲治療のニーズに応える技術として発展が期待される．