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はじめに
白内障手術で極小切開白内障手術(micro incision cataract surgery:MICS)が広がったように,硝子体手術にも小切開硝子体手術(micro incision vitrectomy surgery:MIVS)がますます広がっている。小切開硝子体手術は1990年にde JuanとHickingbotham1)が25ゲージ(以下,G)硝子体手術器具のプロトタイプを作製し,さらにFujiiとde Juanら2,3)が経結膜的強膜創に設置するカニューラと電動硝子体カッターを用いる25G硝子体手術システム(Millennium TSV25TM)を開発したことで始まった。その後DORC社,アルコン社,NIDEK社などからも25G硝子体手術システムが発売され,さらに2,500 cpm(cut per minute)が可能なMidlab社の硝子体カッターまで発売されており,同社の硝子体カッターは開口部を大きくしただけでなくデューティサイクル(duty cycle)を大幅に改善したため,効率よい硝子体切除が可能となっている(図1)。
当初は器具の小口径による眼内照明の照度不足が指摘されていたが,キセノン照明器具やシャンデリア照明の普及により20G手術と遜色ない眼内観察が可能になった。25Gの硝子体手術器具は小さい口径であるがゆえ,細部にわたった手術がしやすい。一方で剛性が低いためしなりやすく,厚い増殖組織には対処できない欠点もあった。器具の剛性に関しては徐々に改善され,続いてEckardt4)によって開発された23G硝子体手術とともに硝子体手術の新しい選択肢となっている。23G手術は20G手術の延長であるのに対して25G手術は20G手術とは異なった術式であると認識したほうがよく,本項では25G手術の利点と問題点につき述べる。
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