特集 網膜硝子体診療update
Ⅰ.検査法update
多局所網膜電図
島田 佳明
1
1埼玉医科大学眼科学教室
pp.79-85
発行日 2008年10月30日
Published Date 2008/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102460
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はじめに
多局所網膜電図(multifocal electroretiongram,mfERG:以下,多局所ERG)は,理論物理学者Sutter1)が1989年に発明した網膜部位反応マップ(retinal area response mapping)を,網膜電図(electroretinogram:ERG)の一種と見なして用いられるようになった名称である。数百個の網膜の局所領域のERG(局所ERG)が得られ,波形一覧,グループ波形,3Dプロット(図1)が実現した。また記録時間が数分間と短く,臨床検査としての実用性を備え,世界的に流行した。
多局所ERGの記録,分析機材として,Sutter自身がVERISTM(ベリス:メイヨー(有),愛知)を発売し,最初の製品となった。 VERISTMの定義は“visual evoked response imaging system”とされているが,これが正式名というわけではない。VERISTM自体が商品名である。しかし,VERISTMシステムという呼び方は重複と考えられ,使わない。またベリスを多局所ERGの意味で使うのは現状に合わない。多局所ERGを記録できる後発品が複数販売され,VERISTMよりも普及している国や地域もある。またVERISTMも多局所ERG専用でなく,視覚電気生理検査を総合的に扱う機材に多機能化している(図1はVERISTMの2006年モデル)。「VERISTMによる多局所ERG」のように呼称するのが適切である。
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