Japanese
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連載 公開講座・炎症性眼疾患の診療・15
クラミジア結膜炎
Chlamydial conjunctivitis
赤沼 正堂
1
,
北市 伸義
1
,
青木 功喜
1
,
大野 重昭
1
Masataka Akanuma
1
,
Nobuyoshi Kitaichi
1
,
Koki Aoki
1
,
Shigeaki Ohno
1
1北海道大学大学院医学研究科病態制御学専攻感覚器病学講座眼科学分野
pp.838-841
発行日 2008年6月15日
Published Date 2008/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102262
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はじめに
クラミジア眼感染症の原因となるChlamydia trachomatisは,細菌と同じくDNAとRNAをもち分裂増殖するが,一方でウイルスのように増殖に必要なエネルギーを宿主細胞に依存する,という細菌とウイルスの中間的な性質をもつ微生物である。現在ではウイルスよりややグラム陰性菌に近い微生物と考えられている。
眼病変は3つに分類され(表1),古くはトラコーマという眼疾患として多くみられていたが,衛生環境の改善や有効な治療薬の登場によってわが国で新鮮例をみることはほとんどなくなった。しかしアフリカ,南西アジア,東南アジア,ラテンアメリカや太平洋島嶼国の一部ではいまなお失明の主要原因の1つであり,公衆衛生上の課題となっている。一般にアフリカ・中近東はA型が,アジアではB型とC型が多いとされる。
現在わが国では,性的な接触が原因となり粘膜や皮膚を介してヒトからヒトへ感染する性感染症(sexually transmitted disease:STD)として,成人,新生児の封入体結膜炎が多くみられる。いまなお生殖器-結膜-泌尿器におけるクラミジアの生態は不明なことが多い。また,最近C. pneumoniaは慢性濾胞性結膜炎の原因となるという報告もある1)。
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