連載 もっと医療コミュニケーション・5
現代の医学生が学ぶコミュニケーション技術
綾木 雅彦
1
1昭和大学藤が丘病院眼科
pp.780-782
発行日 2008年5月15日
Published Date 2008/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102254
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
日本の臨床技能試験
10年以上前から,医学部でも医療コミュニケーションの講義や試験が行われるようになってきました。共用試験実施機構(全国医学部長病院長会議,全国歯科大学長病院長会議,医学教育振興財団)が全国一律の試験を2002年から始めています。客観的臨床技能試験(objectively structured clinical examination:OSCE,オスキー)といって,医学部4年生と5年生を対象に医療面接,頭頸部診察,胸部診察,腹部診察,神経診察,外科的基本手技・救急の各ステーションで5~10分の実技試験があり,医療面接が以前「問診」と呼ばれた医療行為です。
試験では模擬患者を診察するわけですが,医療面接の場合にはある疾患の現症や経過を演じる役者が担当します。この実習や試験では,症状や診断に関係する質問をしていくことも採点基準ですが,挨拶や本人確認なども大きなウエイトを占めます。これは医療面接に限らず,他のすべての実習試験でも同様の配点になっています(表1)。採点基準が全国的に統一されていて,合格者のみ5年生や6年生の臨床実習が許可されます。進級の判定材料にする大学もあります。これは,学生に系統的に診察態度を身に付けてもらうことが目的です。さらに,実習に臨む医学生の質を保証して患者の安全を確保するとともに,医師養成への協力を喚起することも重要な目的です。
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.