文庫の窓から
『傷寒論』
中泉 行弘
1
,
林 尋子
1
,
安部 郁子
1
1研医会
pp.200-202
発行日 2008年2月15日
Published Date 2008/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102139
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『三国志』の時代の人,張仲景
現在『傷寒論』と呼ばれている書物は,張仲景によって成されたものと考えられている。今は失われた『名醫録』という書物には「南陽の人,名は機,仲景は乃ちその字なり。孝廉に挙げられ,官は長沙の太守に至る。始め術を同郡の張伯祖に受く。時人云う,識用精微なることその師に過ぐ。」とあったそうだ。袁紹や曹操らが戦う『三国志』の時代,現在の湖南省にあたる長沙の太守が『傷寒論』の作者である。『傷寒卒病論集』の仲景自序には,建安紀年(196)以来10年も経たぬうちに200余人いた宗族の3分の2が亡くなり,その10のうち7は傷寒が原因で死亡したため,自分は『素問』『九巻』『八十一難』『陰陽大論』『胎臚薬録(たいろやくろく)』『平脈弁証』などを撰用して『傷寒雑病論16巻』を作った,と述べている。
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