Japanese
English
連載 日常みる角膜疾患・53
周辺部角膜浸潤
Marginal infiltration
川本 晃司
1
,
西田 輝夫
1
Koji Kawamoto
1
,
Teruo Nishida
1
1山口大学大学院医学系研究科情報解析医学系学域眼科学分野
pp.1378-1379
発行日 2007年8月15日
Published Date 2007/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410101870
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症例
患者:24歳,男性
主訴:左眼異物感,左眼充血
既往歴・家族歴:特記事項はない。
現病歴:以前よりソフトコンタクトレンズを使用していたが,特に誘因なく左眼の異物感と充血を自覚したために,コンタクトレンズの処方を目的に通院していた当科を受診した。
受診時の視力は右0.2(1.2×S-6.5D),左0.15(1.5×S-5.5D),眼圧は右9mmHg,左10mmHgであった。細隙灯顕微鏡による検査では眼瞼や睫毛の異常はみられず,明らかなマイボーム腺の異常もみられなかった。左眼角膜の8時方向に単一の円形角膜浸潤巣がみられ,同部位に一致して限局性の結膜充血がみられた(図1a)。角膜浸潤は角膜実質の中層にまで及んでいた。輪部との間には透明帯(lucid interval)がみられた。フルオレセイン染色では浸潤巣の周囲に軽度の点状表層角膜症(superficial punctate keratitis:SPK)と点状~線状の角膜上皮欠損がみられた(図1b)。
治療経過:コンタクトレンズの使用と上記の角膜所見から左眼角膜周辺部への細胞浸潤と考え,合成ペニシリン製剤(サルペリン®)とリン酸ベタメタゾン(0.1%リンデロン®)の左眼への1日4回点眼を開始した。点眼開始後しだいに結膜充血は軽減し,8時方向にみられていた角膜浸潤巣も消失した。
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