Japanese
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連載 日常みる角膜疾患・58
角膜内皮検査
Corneal endothelial examinations
川本 晃司
1
,
西田 輝夫
1
Koji Kawamoto
1
,
Teruo Nishida
1
1山口大学大学院医学系研究科情報解析医学系学域眼科学分野
pp.18-20
発行日 2008年1月15日
Published Date 2008/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102102
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症例
患者:67歳,女性
主訴:両眼視力低下
現病歴:2000年4月頃,近医で両眼の角膜内皮ジストロフィ(Fuch's角膜ジストロフィ)と白内障を指摘されて当科を紹介され受診した。その後,両眼の白内障が進行したために,2001年6月に左眼,2002年に右眼の白内障手術を施行されていた。施行前の角膜内皮細胞数は右 790cells/mm2,左 750cells/mm2であった。
術後,次第に視力低下を自覚するようになり,角膜内皮細胞機能障害による角膜実質浮腫が出現するようになったため,2007年11月15日に角膜内皮移植術(以下,DSAEK)施行目的で当科に入院となった。
家族歴・既往歴:特記事項なし。
初診時所見:入院時視力は右0.7(矯正不能),左0.8(矯正不能)であり,眼圧は右10mHg,左13mmHgであった。角膜内皮面には細隙灯顕微鏡で観察される前房内に突出した微小な疣贅が認められ,軽度の角膜実質浮腫が見られた(図1a)。スペキュラマイクロスコープを用いた角膜内皮細胞検査ではguttataを伴った角膜内皮細胞層が観察され(図1b),レーザー共焦点顕微鏡では変形した角膜内皮細胞層が観察された(図1c)。
2007年11月に右眼のDSAEKを施行し,術後一過性に角膜実質浮腫が増悪したが次第に実質浮腫は軽快した(図2a)。術後2週間後では,スペキュラマイクロスコープによる角膜内皮細胞層の観察は困難であったが(図2b),レーザー共焦点顕微鏡では正常な多角形構造を有した角膜内皮細胞層が観察された(図2c)。術後2週間後の視力は右0.4(0.9)であった。
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