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症 例
患者:70歳,男性
主訴:両眼の視力低下
現病歴:特に誘因なく視力低下を自覚していた。近医眼科を受診した際に両眼白内障を指摘され,同時に角膜内皮細胞数の減少も指摘された。白内障手術を目的として2003年3月当科を紹介され受診した。
既往歴・家族歴:高血圧,蓄膿症
初診時所見:視力は右眼0.3(0.6),左眼0.2(0.6),眼圧は右眼9mmHg,左眼8mmHgであった。細隙灯顕微鏡検査では両眼ともフルオレセインで染色される点状表層角膜症がみられた。角膜実質には軽度の浮腫による混濁がみられ(図1a,b),角膜内皮面には反帰光線で観察されるdark spotが散在性にみられた(図1c,d)。前房内に細胞やflareなどの炎症所見はみられなかった。中間透光体には両眼ともに核・皮質白内障がみられた。スペキュラマイクロスコープでは角膜内皮細胞の観察が両眼とも困難であったが,共焦点顕微鏡ではデスメ膜の隆起による無細胞領域が認められ,角膜内皮細胞密度は右眼1,200cells/mm2,左眼900cells/mm2であり(図2a),角膜厚は右眼583μm,左眼586μmであった。
治療経過:初診時の所見よりFuchs' 角膜内皮ジストロフィと診断したが,角膜内皮細胞密度は両眼ともに1,000cells/mm2前後あり,角膜実質浮腫が軽度であり角膜の内眼手術による侵襲に対して透明性は確保できると考え,2003年4月に左眼,同年5月に右眼の白内障手術(超音波乳化吸引術+眼内レンズ挿入術)を施行した。2年後の受診時には左眼でわずかに角膜実質浮腫を認めたが,視力は右眼0.8(矯正不能),左眼0.5(矯正不能)であり,角膜厚は右眼740μm,左眼820μm,共焦点顕微鏡による内皮細胞密度は右眼562cells/mm2,左眼560cells/mm2であった。
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