特集 網膜色素変性症の最前線
網膜色素変性症の治療
中沢 満
1
1弘前大学医学部眼科
pp.1536-1539
発行日 2003年10月15日
Published Date 2003/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410101385
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はじめに
網膜色素変性の病態は,1990年頃からの分子生物学や分子遺伝学の急速な臨床医学への応用により大幅に理解が進み,一部では原因遺伝子の同定もなされるようになってきた。本邦においても厚生労働省特定疾患調査研究班を中心として遺伝子解析研究がなされ,いくつかの新規原因遺伝子変異が報告されてきたのは周知の通りである。臨床医学における遺伝子診断,および遺伝子解析研究の本来の目標はこの疾患の根本的原因を解明することにより,発症機序を明らかにして将来期待される新しい治療法開発への基礎データの提供を行うことにあるといえる。一方,本疾患の治療法開発に向けた研究も遺伝子解析研究の後を追うように,これまで明らかになった遺伝子解析の知見を利用しつつ,さまざまな新しい研究手法を組み合わせながら着実に進展してきている。
本稿では「網膜色素変性の治療」に関係する近年の研究状況を総括することを目的として,薬物治療,遺伝子治療,人工視覚,および移植医療・再生医療の順に,筆者の理解の範囲でできるだけ簡単に報告する(表1)。
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