特集 網膜色素変性症の最前線
網膜色素変性症の病態(1)―遺伝子解析を中心に
和田 裕子
1
1東北大学医学部眼科学教室
pp.1522-1528
発行日 2003年10月15日
Published Date 2003/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410101383
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
網膜色素変性は,夜盲,視野狭窄,視力低下を主訴とする遺伝性の網膜変性疾患である。長年,家族発症で,さらに夜盲,視野狭窄を示す疾患の存在は知られていた。1851年にHelmholtzによりOphthalmoscopeが発明され,1853年にvon Tright,また1854年にRueteにより網膜色素変性の症例が報告された1,2)。
Dondersら3~4)により,1855年に「Retinitis pigmentosa」という言葉がこの疾患に対して初めて用いられた。Retinitis pigmentosaは「炎症性」の意味が大きく,実際には本疾患は「dystrophy」,または「genetically determined degeneration」の意味が強い疾患である。現在までに,網膜色素変性に対しては「retinitis pigmentosa」,「tapeoretinal degeneration」,「primary pigmentary retinal degeneration」,「pigmentary retinopathy」,「rod-cone dystrophy」などさまざまな言葉が用いられているが,海外,または本邦では「retinitis pigmento-sa」,または「網膜色素変性」が広く普及している。
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.