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リハビリテーションには,医学的リハビリテーション(medical rehabilitation)と社会的リハビリテーション(social rehabilitation)という概念がある。肢体不自由や脳卒中などのリハビリテーション(医学的リハビリテーション)は病院の理学療法士や作業療法士などが行っており,最近は受障直後からのリハビリテーションが盛んになされるなど,リハビリテーション医学が飛躍的に発展を遂げている。そして,失語症や高次脳機能障害などの分野でも言語聴覚士が活躍している。一方,視覚障害者のリハビリテーションは,医療の場では眼鏡処方などを行い,視機能回復が困難であるとし,日常生活訓練や歩行訓練などは福祉や教育で行われるものとの考えが医療側に根強い(図1)1)。すなわち,眼科リハビリテーション(医学的リハビリテーション)は病名や失明の宣言・告知後,速やかに社会的リハビリテーションにつなぐことを主な仕事と考えられている。このため,視覚障害者である患者は視覚障害者のためのリハビリテーションを病院で受けることができない。また,視覚障害者の福祉施設側にも,真のリハビリテーションの担い手は社会的リハビリテーションであるとの意識が強い。このように,眼科医療は診断と治療,その後の訓練は教育や福祉という固定概念が確立し,両者間の壁は非常に高く,連携はほとんどない。しかし,連載第1回に記したように,私は福祉の人(現 国立函館視力障害センター山田信也氏)を医療に招き入れることによって,患者が癒され,ふたたび生きていく力を取り戻していくプロセスをまざまざと見てしまい2,3),また,眼科医が患者の治療中に,早期に,適切にロービジョンケアを開始すべきであると国立身体障害者リハビリテーションセンター病院の簗島謙次先生にも教えられた4)。そこで,私は山田氏と議論を交わし,従来の医学的リハビリテーションや社会的リハビリテーションといった固定概念では連携がとりにくいので別の名前を付したほうが得策であると結論し4),プライマリロービジョンケア(primary low vision care),基礎的ロービジョンケア(basic low vision care),実践的ロービジョンケア(advanced low vision care),先端的ロービジョンケア(high-graded low vision care)などの名称を提案した(図2)。
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